いつもの駅で、 私は降りることができなかった。 ほかに行くあてがあるわけではない。 ただ、降りることができなかったのだ。 「アザミの花とつきぬける大空」。 (もういっぺん、いってみろ…) 私たちには神話が、 物語が必要なのだ。 良質の虚構が。 現実の背後に無限にひろがる、想像力の海へ、僕らはなぜ向かおうとしないのか? (もういっぺん、いってみろ…) 終点で降りる。 そこで待っているものはなにもない。